CPAG | CONTENPORARY PHILOSOPHY IN THE AGE OF GLOBALIZATION

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マルクス主義のアジア
東アジアにおける「アジア的生産様式」論の連鎖と 韓国文学批評史

2013年2月6日(水) 15:00-16:30
東京大学駒場キャンパス・101号館2階 研修室

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講演者:黄鎬徳(HWANG Hoduk) 成均館大学副教授
司会:中島隆博 東京大学大学院准教授

講演者プロフィール

黄鎬徳:
成均館大学(韓国)韓国語文学科・東アジア学術院副教授。カリフォルニア大学アーヴァイン校訪問学者。城西国際大学専任講師を経て、2007年より現職。高錫珪批評文学賞、韓国比較文学賞受賞。著書として『虫と帝国―植民地末朝鮮文学の言語・生政治・テクノロジー』、『フランケン・マルクス―韓国現代批評の星座』、『近代ネーションとその表象』、『概念と歴史、近代韓国の二重語辞典1』(共著)があり、『漢文脈と近代日本』(齋藤希史)と『概念と歴史、近代韓国の二重語辞典2』(James Gale, H.G. Underwood他)をそれぞれ共訳、編訳。

レポート

CPAG 国内イベントの第一回は、成均館大学の黄鎬徳・副教授を迎え、アジアの近代化がはらむ諸問題について議論する場となった。

黄氏は、すでに整理・克服されてしまったかに見える「アジア的生産様式」をめぐる論 争をたどり直し、そうした議論が韓国近代学術史上に占める意義を、近年の研究成果をふんだんに取り入れつつ再確認してみせた。この議論を取り上げるのは、それが「植民地朝 鮮」においてほぼ唯一、「東アジア」的規模で展開されたものであり、また一論争にとどま らず、異なる体系をもつ社会経済史や文化史記述につながったものであるからだという。 さらにこの議論の背後にはマルクス主義という「普遍的な科学」を用いて或る文化史を書 くという問題が控えている。言い換えれば普遍史の中でいかにして民族史は可能なのか、 という根本的な問いが投げかけられたのだ。


(黄鎬徳氏)

講演で詳説された「アジア的生産様式」をめぐる論争の全容をここに採録することはできないが、重要な論点を一つ挙げておこう。日本を経由して導入された「資本主義」を場 として生じる普遍史(発展段階)と民族史のせめぎ合いが、「移植」によるグローバル化と 固着というキーワードで捉えられていく。またそれと並行して文学史・文学様式の「移植」、 ないし「移植文学」の内実を問う視点が提示されたが、残念ながら限られた時間の中でこ れらの興味深いテーマをすべて網羅することは望み得なかった。


(フロアとの議論の模様)

会場からは近代に固有の問題としての文学史記述の問題(どこに「起源」を設定するか、 等)、ロマン主義・文学史・ナショナリズムの重なり合い、近代化・西洋化・日本を通した 西洋化という三つの側面の緊張関係、「移植」と「翻訳」の差異、等々、いずれも重要なテ ーマについて質疑応答が交わされ、盛況のうちに講演会は幕を閉じた。(報告:柿並)